内幕

結局もってこのテーマ自体は私の好きなもの、描きたいものでしかないのだが。
ヒロインの28号、通称メアリー・アンは過去の行いや基本衣装の色などから「ブラディ」の異名を持ち、ブラッディ・マリー・アンなどと揶揄される。
鋼鉄と生体材料とナノマシンで構成された基本ボディは端末であり、次元の向こう側に端末ボディに数万倍する体積の知能中枢、動力炉、汎用工場を持ち、基本ボディやその他の端末装置を無尽蔵のエネルギーで駆動させる。
必要とあらば兵器を工場で作成して手の中に出現させ、弾薬や毒物程度ならば基本ボディのナノマシンの生成能力でことたりる。
核ミサイルが必要ならば作り出せる存在は、核ミサイル以上の戦略兵器になりうる。
しかもその上で基本ボディの外見は少女のものであり、赤い髪赤い衣装と言う変則ながらもメイドの外見でしかなく、基本ボディも女性としての機能は完全に備えられ、人工子宮として、遺伝子操作工場としても稼動できる。
この兵器であり道具である人工メイドは、しかし善悪の観念を理解はするが遵守せず、ただひたすらにコントローラーの所有者にのみ付き従う存在である。
これは、いわば悪魔から取引を持ちかけられているに等しい。
「世界最強の力がここにある。それを手に取れ。そして為したいことを為せ」
このコントローラーを持つ正太郎青年が何を思い、何を為すか。それを描くことが主眼になるだろう。
さらには正太郎青年の感じる「手応えのなさ」を描けるかどうかが問題になる。完全な女性でもある人工メイドに入れ揚げれば入れ揚げるほどに、メイドの自分に対する根っこの部分の淡白さに対していらだってくる。メアリー・アンは正太郎がコントローラーの持ち主であるが故に従っているのであって、それ以外の理由を内部に全く持たない。愛想よくしろと言われればするし、媚を売れと言われれば売りもする。しかし、それは全て命令であり、コントローラーの所有権が移動すればそれで呆気なくも終わってしまうものだ。
そういう懊悩を描きたいのだけれども、それを前面に押し出しては売れんだろうから、id:ma-asaさんが言うような「鉄人28号のパロディ」と言う糖衣をまぶさなければならないんだろうな。売るとしたら。