登場人物

ヒロインA
主人公の妹。舌ったらず。主人公に好意を寄せる。
ヒロインB
主人公の幼馴染。快活。主人公に好意を寄せる。
ヒロインC
主人公のクラスの委員長。毒舌。主人公に好意を寄せる。
ヒロインD
主人公とクラブが同じ。がさつ。男言葉。主人公に好意を寄せる。
主人公と古くからの友人。自分は全てにおいて(人生含む)脇役であると悟りきっている。
主人公
出ません。

(前略)
友「……あのさあ、前々から不思議に思ってたんだけどさ」
C「何ですか?」
D「何だよ」
友「なんでお前等、そんなに主人公あいつのこと好きなんだよ。少し変じゃないか? そりゃ主人公あいつは俺より背は高いし運動はできるし成績はいいし顔もいいし性格もいいけどさ、主人公あいつより背の高い奴だって運動できるやつだって成績のいいやつだって顔のいい奴だって女に優しい奴だっていくらでもいるんだ。なのになんで主人公あいつにだけ執着するんだ? それぞれなんか特別な思い出でもあったりするのか? なあ」
A「そんなこと、言えませんよ」
B「……別に思い出とかある訳じゃないんだけど、ねえ?」
友「じゃあ、なんでなのさ! ねえねえ、ねえったらねえ!?」
ヒロインたち、突然自分のヅラをつかみさっと取る。髪のない頭部には大きな手術痕が残っている。一人残らず。
D「そんなの、主人公あいつの親父に脳改造されたからに決まってんじゃん」
友「……うわーっ! なんてひどい真実! 現実とは残酷なものなのか!?」
C「あなたの現実じゃないでしょうに」
友「そそそその、なんだ、そんなことされて平気なのか? それからそのアレだ、倫理とか法律とかその辺どうなんよ!?」
A「確かに脳改造はされてますけど、他の部分に影響はないんですよ?」
B「私、脳改造される前から絵は巧かったですよ? 今でもちゃんとうまくなってる実感がありますし」
友「えー!?」
D「ま、そもそも、『脳改造されたことを何とも思わない』ように改造されてるしな」
友「はぃーっ!?」
C「……あんまり騒ぐと、あなたも脳改造されちゃうわよ?」
友「……(おお、神よ……なんと恐ろしい……ガクガクブルブル……)」
D「ま、そんな訳で。俺たちは主人公あいつのことを好きだし主人公あいつの言うことだったら何でもできる。いずれ主人公あいつは俺たちの中の誰かを選ぶだろうけど――」
C「そうかしら。もしかしたら関係ない人を選ぶかもよ?」
D「うるせえな。それでも同じことだろがよ。――選ばれた奴はハッピー。選ばれなかった奴も別にそれで何が変わることもない。俺たちが主人公あいつを好きなことは無条件なんだ。これからの一生主人公あいつがずっとこっちを振り向いてくれなくても、俺たちは平気さ。そんな風になってるんだからな」
友「と、言うことは、なんだ、どういうことなんだ? お前ら自分の一生を主人公あいつあいつに捧げて惜しくはないって言うのか?」
A「私は、その、脳改造される前からそんな感じだったけど……」
B「私もーっ!」
D「うるせーよ馬鹿。惜しいとか惜しくないとかじゃなくて、そうするんだよ。呼吸するみたいに俺たちはそうするんだ。もし主人公あいつが『俺のことは忘れて他の奴と一緒になって幸せになれ』って言ったら、俺はもちろん、俺たち全員適当な男捕まえてそうするさ。けど、もし主人公あいつが、選んだ女に飽きて、結婚してもしかしたらガキも生んでる俺たちの誰かに『戻って来い』って言ったら、1ミリたりとも迷わずに走るね。男もガキも全部捨てて、バッグにエロ下着とバイブだけ突っ込んで主人公あいつのとこに転がり込むね」
C「もうちょっと歯に絹着せてくださらない? それとも口の中まで野生児なの?」
D「気取るなバーカ。わかりづらいツッコミ入れてんじゃねーよ。今だってバッグの中にロープと洗濯バサミ入れてるくせに澄ますなよ」
C「なっ……!?」
A「ロープ……(どきどき)」
B「洗濯バサミ……(わくわく)」
友「……(もう、言葉も出ねえよ)」
(後略)

エロゲーユーザーにトラウマを残すようなシナリオを作ってみたい。そんな欲求が、俺にはある。