三日目
私が帰った時、家の中は何もできていなかった。三日連続だ。
何かを期待しつつ、リビングの照明をつけると、やはりそこに妻がいた。何か急用ができて外出したとか言うのなら、まだそっちの理由の方がよかったのだが、これまでと同じように読書をしていた。
ん? あれ? 三国志じゃないのか?
本の背中に三国志の文字がない……が、近寄ってよく見ると、「曹」の字が見えた。作者は同じ陳舜臣だが。
「間違い探しじゃないって言ってるだろう!」
「んー?」
思わず声を荒げた私に対し、妻は不機嫌そうにまゆをひそめた。
「一体、誰から借りてるんだいつもいつもいつも……」
「んー」
ぶつぶつ言いながら私は、その日も台所に立った。