アンビガス刑事シリーズ

封鎖された殺人現場につき、パトカーから降りた時、なじみの警官が駆け寄ってきて状況の説明を始めた。 「殺人です。現場の封鎖も完全に行われました。殺人犯は確実にこの会場内にいます」 「で? なんでそれで逮捕できないんだ。――ああわかった。言わなくて…

被害者は誰?

その殺人の現場は、とあるプロレス団体の宿舎だった。アルファベット三文字を大きく書いた看板は、お世辞にも上等とは言えなかったが。歩きながら、刑事は現場から迎えに来た巡査に状況説明を求めた。 「で、被害者は?」 「ええと、プロレスラーです」 「ま…

容疑者が多すぎる

部屋で刑事が待っている。トレンチコートを着た時代錯誤な奴。マルボロを吸い、灰を高そうなじゅうたんの上に落とそうとして寸前で思いとどまり、悪態をつきながら懐から携帯灰皿を取り出して半分以上残っているマルボロを突っ込む。 ちらとドアに目を遣り、…